
なだらかな丘の斜面に近代的な邸宅が建ち、近年は高級住宅地として知られている青葉区美しが丘地区。この地で腕を振るう若きオーナーシェフ・杉田氏の店がブォン・リーノだ。その名の由来は自身の愛娘の名にちなんだものということ。料理にも家族にも愛情を注ぐシェフが生み出す料理を、今回は紹介してみたい。
店舗があるのはたまプラーザでも比較的古くから開発が進んでいた美しが丘4丁目、山内公園の近く。駅から徒歩でも行ける距離だが、専用駐車場も用意されているので気軽に訪れられる。イタリア中部の民家をイメージさせる外観で、店内も曲線がうまく使われたほっとする雰囲気。堅苦しさは全く感じさせない、普段遣いのレストランといった印象だ。

杉田店主の修行先でもあり、今も師として仰いでいる師匠がいる店は外苑前の有名レストラン「Le Acacie (アカーチェ)」。杉田氏は本店とその支店のトラットリアで腕を磨き、満を持して店を構えた。周囲の住民が気軽に訪れられるようにと、料理の質は修行先から落とさずに、店作りをぐっとカジュアルにしているので、昼には近隣に住む女性達が訪れ、お喋りに花を咲かせる上質なサロンとなっている。いっぽう、夜には素材の質も手間の深さもワングレード上がり、味の良さを求める客が集う。昼と夜で違う顔をもつのが、ブォン・リーノの特徴のひとつと言えるだろう。ちなみに昼の平均予算は2,000円前後、夜は6,000円~7,000円ということだ。

ランチメニューは1,600円、2,400円、3,800円の3種類のコースがあるが、人気があるのはやはり1,600円のコース。写真のようにパスタ、前菜盛り合わせとスープ、パン、ドリンク(またはドルチェ)がセットになっており、これだけでも十分な満足感がある。2,400円のコースでは前菜が7種類に、パスタ2種類の盛り合わせにグレードアップし、ドルチェの3種盛りがプラスされる。ランチとはいえ人気のある店なので、予約をして訪れるのがより確実だろう。なお、ランチメニューのパスタは一部を除き乾麺を使用している。

この店の人気の理由のひとつは、修行先ゆずりの「生パスタ」にある。ランチでも一部で生パスタが使われているが、ディナーとなれば黒板に書かれたすべてを生パスタで提供している。生パスタ作りは非常に手間のかかる作業。コストパフォーマンスを考えればランチタイムには提供したくても出来ないのである。シェフの思いをしっかり受け止めるのであれば、ディナーで訪れるのが正攻法だろう。