和紙の店 紙よし村

和紙の店 紙よし村

「甲州街道」は、江戸幕府によって整備された五街道のひとつである。現在は、一般的に「国道20号線」のことを指すが、江戸時代の甲州街道と一致しない部分も少なくない。そのような道は「旧甲州街道」と呼ばれている。

道幅が広いのに加え、交通量も多くジネスや物流関係、休日ともなれば観光地へ向かうクルマなどが、昼夜を問わず行き交っている甲州街道とは違い、旧街道には往時の雰囲気を残しているところもあるようだ。

大國魂神社入り口に面した旧甲州街道も、歴史を感じさせる道といっていい。通り沿いには「府中高札場」や旧跡などが残り、さらにはかつての府中宿を偲ばせる老舗が軒を連ねている。

人づてに聞いて立ち寄った「和紙の店 紙よし村」も、旧街道にある江戸時代から続く和紙の専門店。ビルの1階に、昔ながらのガラス戸。ちょっと違和感を感じさせるたたずまい。正直なところ、「本当にここだろうか?」と不安になったが、看板の店名を再度確認し、店の中に入った。

入店してみると……そこには昔ながらの帳場があり、後ろには紙をしまう木製の棚。頑丈な階段の上は中二階になっていて、在庫が積まれている。天井が高く、静謐な店内には、まるでビルの中とは思えない、老舗の風格が漂っていた。

「うちの主人で、11代目になるんですよ」と語ってくれたのは、昔でいうところの女将さん。先ほどの階段や帳場の柱は、以前は店の隣にあった蔵を解体した際、残った木材で作ったという。その時、発見された書付には、「嘉永元年」という文字が記されていた。葛飾北斎はまだ生きており、ペリーが浦賀に来る6年も前のことだ。

お店で扱う「土佐和紙」は、主に習字の半紙、画仙紙、障子紙などに使われる。練習用のものから高級品まで、さまざまな種類が並んでいる。他には千代紙やぽち袋などもあり、大國魂神社にも紙を納めているそうだ。驚いたのは、半紙が木の板に挟まれて売られていたこと。一帖単位(20枚)で販売するそうだ。「紙が悪くならないんですか?」と聞くと、「空気を通さない方が悪くなるんですよ」とのこと。ビニール・パック売りが当たり前で育った自分には、目から鱗の答えだった。和紙の専門店は、近隣には、もうほとんどないのだという。

古来の文化が、少しずつ消えつつある日本。記録媒体としての筆と墨と和紙は不要なものになってしまったのかもしれないが、書道や書画を嗜み、手紙を書くことはできる。

来年は、書きぞめでもしてみようか……そんな気持ちがわいてきた。

和紙の店 紙よし村
住所:東京都府中市宮西町2-17-2
TEL:042-361-2022
営業時間:9:30~18:30(毎週日曜休、及び不定休)

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